―女性の職場で円滑にいくようコミュニケーションで気をつけていたことは?

マウンティングかな。あれはお互いの関係を悪くする以上に、お互いにいらない労力を使うことになるので、注意したいなと。

私は、マウンティングされやすいので、一時期、悩んだことがあったんですね。なんで、私、こんなに上から目線でいろいろ言われなきゃいけないのって。「私の方が仕事ができる」って上から目線で、乱暴な命令口調だと、こっちもやる気がなくなるでしょ? あとは、「私の方が若い」ってマウンティングなのか知らないけど、1つしか歳が違わない後輩から、「大先輩、疲れるでしょうから、座ってください」とか言われて感じ悪いなぁとか。「あなた仕事頑張ってるかもしれないけど、結局、女の価値を決めるのは男よ」って、結婚したばっかりの先輩に言われたり(笑)。

で、結局、私がマウンティングされやすいのは、私の中にも同じ気持ちがあるからだって気づいたんです。

「見下されたくない」って片意地張っちゃうところがあるから、相手も私と競いたくなるんだと思う。それって、お互いに無駄な意地の張り合いで疲れちゃう。だから、いつもじゃなくていいけど、弱みを見せたり、素直になったり、自分の中の張り合っちゃう自分を抑えるのが大事かなって思いました。

女同士で意地の張り合いなんて、あんまり意味ないじゃないですか。

それよりも、もっと正直に「こんなことも実は悩んでいて」みたいなことをちゃんと言えた方がお互い信頼できるかなって。

―大きな仕事が降りてきたとき、どう乗り越えようとチャレンジする?

今の実力よりも大きな仕事が降りてきたときは、うーん……実力の何パーセントアップかによりますね。実力の2倍の仕事ならチャレンジは無謀だろうし、105%アップならチャレンジをしてしまうのがいいと思うんです。

がむしゃらになれば、5%分は絶対に伸びる。でも、どれだけ夢中になっても200%は伸びないことが多い。

それでも、頑張ろうと、やらなきゃと思えば、ぎりぎりまで自分ひとりで抱え込んじゃって、直前に「やっぱりできません」ってギブアップ宣言をして、今からじゃ、先輩たちがみんなかかってもフォローできないよっていう、悪夢のような状況になる。これだけは避けないといけないと思うんです。みんなに迷惑をかけるし、自分の評判も地に落ちる。

だけど、チャレンジする機会も大切。

だから、「200%の仕事」なのか、「105%」の仕事なのかを見極めて。

5%アップならチャレンジ、100%アップなら、「今回はサポートに入って勉強させてください」って言えばいいと思います。

―店長などマネジメントの立場でも、そのSOSに気づかない場合があるのでは?

そこもコミュニケーションなんですよね。

上司からしても合う合わないもあれば、「あの子は普段から頑張ってるからもしかして今日はなんかあったの?」ってSOSに気づくときも、「あの子はしっかりしてないから、失敗と言い訳ばかり」ってSOSを見逃すときもある。小さなコミュニケーションの積み重ねが、大きく響いてくるのかなって。

SOSに気づかないのって、結果だけを見るのじゃなく、それまでの過程に原因があると思うんです。

上司のほうから、普段からきちんと見ているよっていうのを伝えるのが大事かなと。

財務省も弁護士事務所も男社会で、「大変だったね」とか「頑張ってくれたね」とか、そういういたわりの雰囲気があまりなかったのだけど、たまにはそういう人もいた。「昨日遅くまで資料やってくれたんだね、ありがとう、良く数字そろえられたね」なんて。そうすると、この人は結果だけじゃなくて、頑張ってる姿をちゃんと見てくれてるんだって思う。だから、逆に、困ったこととか、つらいときとかも相談しやすい。

そういう関係を作っておけることが、SOSを見逃さないためにも大事なんじゃないかなと思います。

逆に、部下のほうからは、世の中の上司は決して結果だけを見ているわけじゃなくて、「新人の子が、一生懸命にやって失敗した」とか、「普段から学ぼうという向上心があって、新しいことにチャレンジしして失敗した」とか、そう思える場合と、ただ失敗したときでは全然違うことを理解しておく必要があります。陰で隠れて努力するんじゃなくて、学ぼうという意欲があるなら、それを上司に積極的に伝えることが重要。そうすれば、SOSにも耳を傾けてもらいやすくなるのではないかと。


■山口真由(やまぐちまゆ)
1983年生まれ、北海道 札幌市生まれ
2002年 東京大学教養学部文化Ⅰ類(法学部)入学
2006年 財務省に入省し、主税局に配属。重荷国際課税を含む租税政策に従事
2008年 財務省を退官
2009~2015年 弁護士として大手法律事務所に勤務
2016年 ハーバード大学ロースクール(法科大学院)を卒業
2017年 東京大学大学院 博士課程 法学政治学研究科 総合法政専攻に在籍

 

>>ハーバードで喝采された日本の強み/山口真由<<
二極対立思考法、ハーバード流交渉術、人種問題、LGBT問題……
東大首席元財務官僚が学んだ、ハーバード白熱教室の実態!
2015年夏から1年間、ハーバード・ロースクールに留学した著者。
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