コラージュやイラスト、ペインティングなど、様々な手法で作品を発表し続けるアーティスト、とんだ林蘭さん。
生肉やハイブランドのロゴをモチーフにするなど、独特の視点から生まれるその世界観がSNSなどを中心に注目を集め、木村カエラや東京スカパラダイスオーケストラ、チュートリアルらとのコラボグッズを発表するなど、音楽アーティストやタレント、ファッション関係者からも絶大な支持を集めています。今年8月には中目黒で個展「THE FREAK SHOW」を開き大盛況を収めた彼女。アンディ・ウォーホルやフランシス・ベーコン、ジェイミー・リード辺りにも通じるような作風は、一体どこから生まれてくるのでしょうか。

完成形をイメージするのではなく、描けるものを描いていく

アーティスト活動を始めるようになったキッカケは、浅草にある洋服屋「THE THREE ROBBERS」だったそうですね。

はい。地下にある、ものすごく変わったお店で、入口の壁にサインが一面に書いてあるんですよ。それも、かなり有名な人たちの。最初は、「なんだろう、ライブハウスみたいだな」と思って中に入ると、洋服を売っているだけじゃなくて、みんなでご飯を食べたり、トランプで遊んでいる人もいれば、プロのミュージシャンがライブやリハーサルをやっていたりもして。

fireshot-capture-29-takashitsukamoto%e3%81%95%e3%82%93thethreerobb_-https___www-instagram-com_thethreerobbers_

The Three Robbers のインスタグラム https://www.instagram.com/thethreerobbers/

たまたま通りかかったんですか?

そうなんです。ちょっと覗いたらすぐ帰ろうと思ったんですけど、結局4時間くらい居座ってしまって(笑)。そこの店長が、とにかく強烈なキャラクターで話が止まらなくなってしまって。それから週2で通うようになり、週3、週4と増えていって(笑)。気づけばほとんど毎日のように通っていたんです。

洋服はお好きだったんですね。

文化服装学院のスタイリスト学科に通っていました。でも、この学校の生徒はみんなすごくセンスあるし、もちろん洋服が大好き。そんな人に囲まれていると、自分は「そこまでではないな」ということに気づいてしまって。音楽やアートに対しても、特にアンテナを向けていたわけでもなかったんです。

アートに対する興味はあったのですか?

小さい頃から絵を描くのは好きで、絵画教室に通っていたこともあったんですが、すぐ辞めてしまって。美術館にも、親とか友人に誘われて行くくらいで、あまり自分から進んで行くほどではなかったんですよね。もちろん、行けば「面白いな」とは思うんですけど…。

img_2851

なるほど。最初は漫画家になりたかったんですよね?

はい。漫画は読むのも描くのも小さい頃から好きで、実は、今でも漫画家に憧れています。漫画はイラストとは違って、ストーリーを考えて、絵を描き、背景や細かい描写も必要じゃないですか。だから漫画家は凄いなって憧れをずっと抱いていて。活動し始めたころ、レキシさんに「とんだ林蘭」という名前をつけてもらい、漫画雑誌の編集部に作品を持ち込もうと思って(マンガを)描いていたんですけど、徐々に「なんか違うな...」って思えてしまって。そこから、イラストレーターの道を選びました。

その頃は、他に仕事をしていたのですか?

最初は洋服の販売員で、正社員にもなったのですが、その直後に辞めました。特に何をやりたいかは決まっていなかったんですけどね(笑)。辞めて事務職に就いてから、絵を描き始めました。イラストレーターとしての実績はゼロの状態だったんですけど、「これでやっていきたい」という気持ちだけは強くあって。あまり先のことを考えずに行動しちゃうタイプなんですよね。

そこからは、ひたすら絵を描くようになったわけですね。

はい。辞めてからは取り憑かれたように、頭の中が創作のことでいっぱいになっていました。はじめのうちは、「こういう絵が描けたらいいな」とか、「こういうテイストの作品がカッコいいな」という、スタイルへの憧れがあったんですけど、結局「自分に描けるものは決まっている」ということに気がついて。完成形を頭に浮かべて、そこに向かって描いていくのではなく、ただ自由に、描けるものを描こうって思うようになりました。そのスタンスは今も変わらないですね。